COBOLの帳票出力を効率化!ツールを使ったテストと自動化Tips
生徒
「先生、COBOLで作った帳票が正しく印刷されるか確認するのって、すごく時間がかかりませんか?数百枚もある結果を目でチェックするのは大変です…。」
先生
「その通りですね。人間が目で確認すると、どうしても見落としが発生してしまいます。そこで便利なのが『テストツール』や『自動化』という仕組みです。」
生徒
「ツールを使うと、コンピュータが代わりに間違いを見つけてくれるんですか?」
先生
「そうです!しかも、一度設定すれば何度でも同じテストを自動で繰り返せます。初心者の方向けに、その賢いやり方を解説しますね。」
1. 帳票テストの自動化とは?
プログラミングの世界で言うテストとは、作ったプログラムが期待通りに動くか確認する作業のことです。 特に帳票(ちょうひょう)、つまり請求書や一覧表の出力では、「文字がズレていないか」「合計金額が合っているか」を厳しくチェックする必要があります。
これまでは人間が印刷された紙を一枚ずつめくって確認していましたが、これには限界があります。 自動化(じどうか)とは、専用の道具(ツール)を使って、コンピュータに「正解のデータ」と「プログラムが作ったデータ」を比較させる仕組みのことです。 これによって、人間はコーヒーを飲んでいる間に、コンピュータが数秒で間違いを見つけ出してくれるようになります。
2. 帳票比較ツール「diff」の仕組み
テストで最もよく使われるのが、二つのファイルの中身を比べる比較ツール(ひかくつーる)です。 専門用語では「diff(ディフ)」と呼んだりします。
使い方はとてもシンプルです。
- 「絶対に正しい結果(正解データ)」を用意します。
- プログラムを動かして「新しい結果」を作ります。
- ツールが二つを重ね合わせ、1文字でも違う場所があれば色をつけて教えてくれます。
これなら、数千行あるデータの中から、たった一つのカンマの打ち間違いも見逃しません。 最近では、テキストデータだけでなく、PDFファイル同士を重ねて「見た目のズレ」を検出する高度なツールも登場しています。
3. テストデータの自動生成
テストをするには、読み込ませるための「練習用データ」が必要です。 しかし、名簿や売上データを手作業で何百人分も作るのは気が遠くなる作業ですよね。
そこで、テストデータ生成ツールを使います。 「名前はランダムな漢字、金額は100円から10,000円の間で1,000件作って」と命令するだけで、本物そっくりのデータを一瞬で用意してくれます。
特にCOBOLが扱う銀行などのシステムでは、個人情報をそのままテストに使うことは禁止されています。 ツールを使って「偽物だけど構造は正しいデータ」を作ることは、セキュリティを守る上でも非常に重要です。
4. 修正後の安心を守る「回帰テスト」
プログラムを少しだけ直したとき、「直していない別の場所が壊れてしまった!」ということがよくあります。 これを防ぐのが回帰テスト(かいきてすと)、別名「リグレッションテスト」です。
自動化ツールに「いつものテスト手順」を覚えさせておけば、ボタン一つで全てのチェックをやり直せます。 「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」という安心感を、コンピュータが保証してくれるのです。
5. 自動化に役立つCOBOLプログラムの書き方
ツールを使いやすくするために、プログラム側でも少し工夫をしておきましょう。 例えば、出力結果に「実行した時間」を秒単位まで入れてしまうと、中身が正しくても比較ツールが「時間が違う!」とエラーを出してしまいます。
テストの時だけ、日付や時間を固定にする「テスト用スイッチ」を作っておくと、比較がスムーズになります。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. AUTO-TEST-TIPS.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
* テスト中か本番中かを判断するフラグ
01 TEST-MODE-FLG PIC X(01) VALUE "Y".
01 PRINT-DATE PIC X(10).
PROCEDURE DIVISION.
MAIN-PROCESS.
* テストモードなら日付を固定にする(比較エラーを防ぐ)
IF TEST-MODE-FLG = "Y" THEN
MOVE "2026/01/13" TO PRINT-DATE
ELSE
* 本番は今日の時計から取得する
MOVE FUNCTION CURRENT-DATE(1:8) TO PRINT-DATE
END-IF.
DISPLAY "印刷日付: " PRINT-DATE.
STOP RUN.
6. 実行結果を確認してみよう
上記のプログラムをテストモードで動かすと、何度実行しても同じ日付が出力されます。
印刷日付: 2026/01/13
これで、比較ツールを使ったときに「日付が違う」という無駄なエラーが出なくなり、本当にチェックしたい「計算結果のズレ」だけに集中できるようになります。
7. バッチ処理の自動実行(ジョブ管理)
テストは「実行」して「確認」するまでがセットです。 これをさらに自動化するには、ジョブ管理ツールを使います。
「夜中の3時にプログラムを動かし、終わったら比較ツールを起動して、結果をメールで送る」といった一連の流れを予約できます。 朝、出社したときにはテスト結果が届いている状態。これが自動化の理想的な姿です。
8. ツール導入のメリットと注意点
ツールを使うメリットは、速さと正確さだけではありません。 「誰がやっても同じ結果になる(客観性)」が保証されるため、テストの信頼性がグッと上がります。
ただし、注意点もあります。ツールは「言われたこと」しかできません。 「そもそも合計金額の計算式が間違っている」場合、正解データ自体が間違っていれば、ツールは「正しいです!」と答えてしまいます。 最初の「正解データ」を人間が責任を持って作ること。ここだけは省略できない、大切なステップです。
9. 初心者におすすめのステップ
いきなり全ての自動化を目指すと、準備だけで疲れてしまいます。 まずは以下の順番で試してみるのがおすすめです。
- ステップ1: 二つのテキストファイルを比較する無料の「diffツール」を使ってみる。
- ステップ2: 繰り返し使うテスト用の入力データを保存して、再利用する。
- ステップ3: 修正した時だけ、以前の結果と変わっていないかツールで確認する。
これだけでも、作業時間は大幅に短縮され、ミスを恐れずにプログラムを触ることができるようになります。
10. 帳票編集における自動化の応用
帳票の編集(カンマ編集やゼロ抑制)が正しく行われているかのテストも、ツールが得意とする分野です。 例えば、「000123」という数字が「123」と正しく表示されているか、何百パターンもの数字をツールで一気に流し込んで検証します。
特に境界値(きょうかいち)と呼ばれる、「0のとき」「マイナスのとき」「最大桁のとき」など、エラーが起きやすいギリギリの数字をツールで網羅的にテストするのが、プロの現場でのテクニックです。
11. クラウドを活用した最新のテスト
最近では、インターネット上のコンピュータ(クラウド)を使って、大量のテストを一気に並列で動かすことも可能になっています。 COBOLという伝統的な言語でも、最新のテスト手法を取り入れることで、開発のスピードを現代風に進化させることができるのです。
12. 最後に:ツールの主人はあなたです
便利なツールはたくさんありますが、それを使いこなすのは人間です。 どんなに自動化が進んでも、「なぜこのテストが必要なのか」を考える力が一番大切です。
ツールを「頼もしい助手」として使いこなし、帳票出力プログラムの品質を最高のものにしていきましょう。 機械に任せられることは機械に、人間が考えるべきことは人間に。このバランスが、スマートなエンジニアへの道です。